音楽クラコ座vol.12「対位法は変容する」

対位法……この言葉を聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
「なんだか難しそうな理論かなあ」とか、クラシック音楽を少し囓ったことのある方ならば、バッハとか古楽関連でよく聞く言葉?でもその実態はよく知らない。そんな感じではないでしょうか。

しかし、13世紀の中世から現代にいたるまで、対位法はいまも生きてます。対位法は、作曲上の規則、技法ですが、思想でもあるのです(またまた難しそうな)。

現代音楽専門団体である音楽クラコ座は、脈々と続いてきた対位法の歴史を振り返りながら、今この時代の音楽に対位法がどのように現れているのかを、コンサートプログラムにしてみました。題して「対位法は変容する」です!

助成:公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団

「トーカイ・サッキョクカ!#2」集中リハーサル

集中リハーサルが始まりました。
リハーサルの模様をちょっとだけご覧ください。

こちらは新曲を書いていただいた坂田直樹さん。

中の人は、思わずこんなことも呟いてしまいました。

「生で聴かないとわからないものがある。」

これ、今回ひしひしと実感しています!

ご予約は前日2月22日まで受け付けております。

坂田直樹さんの新作

「トーカイ・サッキョクカ!#2」唯一の新曲は、坂田直樹さんに書いていただいたソプラノサックスのための「カンデラII」です。

この曲は、2022年に書かれたクラリネット作品のサックス版とのことですが、坂田さんはこの曲を書くに当たって、サクソフォンの運指を決めていくために奏者と協働がしたい、つまり「作品が出来上がってから曲をさらい始めるのではなく、制作過程そのものにも深く関わっていただくようなスタイル」を望まれました。これはまさしく、新作が出来上がるための重要なプロセスです。サックスの磯貝さんも「是非」ということで、実現したのが以下の動画です。

コロナのおかげ? でこのようなリモート作業も普通になりました。
2月23日の初演を是非お楽しみに!

戸島美喜夫《アンヴァンシオン・ソノールVI》で使用される「エコーマシン」とは?

戸島美喜夫《アンヴァンシオン・ソノールVI》は、「増幅器とエコーマシンをともなったチェロのための」という副題を持っています。

この「エコーマシン」とはなにか? というのがこの曲を再演する際の最大の問題となります。

1974年の初演を聴いた、当時高校生だった作曲家の伊藤祐二さんは、「音がポンポン跳ねる感じだった」と言われています。

そして作曲者のお嬢さん、戸島さや野さん(本公演にヴァイオリニストとしてゲスト出演されます)に、初演の音響を手がけた矢島正浩さんに問い合わせて頂いたところ「まったく憶えていない」とのことでした。

「日本の電子音楽」の著者である川崎弘二さんの助言をいただきながら、今回音響を担当する安野太郎さんと検討した結果、上記の伊藤さんの証言と合わせて、おそらく使用した機材はRollandのRE-201ではないか? と考えました。これは商品名をSpace Echoといい、輪になった磁気テープを録音ヘッドと三つの再生ヘッドの間でぐるぐる回しながらエコーの効果を作るものです。その場で録音された音がすぐに再生されるため、時差でエコーとして聞こえるわけです。当時、それを宇宙的(未来的)な効果と考え、Space Echoと名付けたのかもしれません。

この機種が発売されたのが1974年。それはまさしくこの曲が初演された年でした。チェロは当時名古屋フィル奏者の杉浦薫氏でした。

RE-201はヴィンテージの名機としていまでもヤフオクなどで売られていますが、きちんと動作するかわからないため、今回は安野さんが取扱説明書を元にMAXでプログラムを組み、このRE-201の再現に挑戦しています。